
C言語入門|C流の効率化:ポインタを使う理由
なぜC言語は「住所」を渡すのか
ここまでで、アドレス演算子(&)や間接演算子(*)、
ポインタ型、そしてアロー演算子(->)まで一通り学んできました。
でも、正直なところ、こんな疑問が残っていませんか?
「ここまで低水準なことをしなくても、
今のパソコンなら普通に動くんじゃないの?」
その感覚、実はまったく間違っていません。
ただし―C言語の世界では、それが通用しない場面が山ほどあるのです。

なぜC言語はここまで効率を気にするのか
前の記事では、数百バイト程度の節約例を見ました。
しかし、これはあくまで「入門向けの最小例」です。
実際のゲームや業務システムでは、
- キャラクタ情報
- マップデータ
- ログ情報
- ネットワーク送受信データ
など、MBやGB単位のデータを日常的に扱います。
もしこれらをすべて「値渡し」でコピーしていたらどうなるでしょう?
| 状況 | 結果 |
|---|---|
| データコピーが頻発 | 処理が遅くなる |
| 同じ情報が重複 | メモリ消費が爆増 |
| キャッシュ効率低下 | 全体性能が悪化 |
どんなに大きなメモリを積んでも、
設計が悪ければ性能は出ないのです。
RPGゲームで考える「C流の効率化」
ここでは、別のRPGゲームを例に考えてみましょう。
プレイヤー情報の構造体
typedef struct {
char name[32];
int level;
int hp;
int mp;
int strength;
int agility;
int intelligence;
/* 実際にはさらに多くの情報が続く */
} Player;この Player 構造体は、
ゲームが進むほど肥大化していく典型例です。
値渡しで処理した場合
void showStatus(Player p)
{
printf("名前:%s Lv:%d HP:%d MP:%d\n",
p.name, p.level, p.hp, p.mp);
}呼び出し側
Player hero = {"リオン", 15, 180, 60, 25, 18, 22};
showStatus(hero);メモリ上で起きていること
- hero:Player構造体(約数百バイト)
- p:関数呼び出し時に 丸ごとコピー
結果として、
表示に使うのは一部なのに、
全データをコピーしている
という非効率な処理になります。
ポインタを使ったC流の書き方
C言語では、こう書き換えます。
void showStatus(Player *p)
{
printf("名前:%s Lv:%d HP:%d MP:%d\n",
p->name, p->level, p->hp, p->mp);
}呼び出し側
Player hero = {"リオン", 15, 180, 60, 25, 18, 22};
showStatus(&hero);何が変わったのか
| 項目 | 値渡し | ポインタ渡し |
|---|---|---|
| 関数に渡すもの | データ本体 | アドレス |
| サイズ | 数百バイト | 数バイト |
| コピー | 発生 | なし |
これがC流の効率化です。
C言語の流儀とは何か
ここで、C言語の考え方を一言で表すなら、こうなります。
C言語の流儀
アドレスやポインタという低水準機能を積極的に使い、高効率を実現する。
C言語は、
- OS
- ゲームエンジン
- 組み込み機器
- データベースエンジン
といった「重くなったら終わり」の世界で使われる言語です。
だからこそ、
ムダなコピーをしない設計が前提になっています。
構造体ポインタと演算子の優先順位
ポインタを使ったコードでは、次のような書き方が登場します。
(*p).hpここで注意すべきポイントがあります。
なぜカッコが必要なのか
演算子の優先順位は、
| 優先順位 | 演算子 |
|---|---|
| 高い | .(ドット) |
| 低い | *(間接演算子) |
そのため、
*p.hpと書くと、
p.hp を先に評価してから * を適用
という まったく別の意味 になってしまいます。
正しくは、
(*p).hpと、先に *p を評価させる必要があるのです。
アロー演算子の登場理由
この書き方は正しいですが、正直ちょっと面倒ですよね。
(*p).name
(*p).hp
(*p).mpそこでC言語では、
構造体ポインタ専用の略記法が用意されています。
それが、アロー演算子です。
p->name
p->hp
p->mpアロー演算子の意味
| 記述 | 意味 |
|---|---|
| p->hp | pが指す構造体のhp |
| (*p).hp | 上と完全に同じ |
つまり、アロー演算子は
間接参照+メンバアクセスを一体化した記法
なのです。
C流効率化の本質
ポインタとアロー演算子を使う理由は、
単に「難しいことをしたい」からではありません。
- コピーしない。
- 参照で済ませる。
- 必要な場所にだけアクセスする。
この考え方こそが、
C言語が何十年も第一線で使われ続けている理由です。
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| C流の効率化 | データは渡さず、住所を渡す |
| ポインタ | メモリ節約と高速化の要 |
| アロー演算子 | 構造体ポインタを扱うための必須記法 |
C言語では、
「効率を意識すること」そのものが設計の一部です。
この流れまで来たら、次は
「ポインタで値を書き換える関数」
「複数の結果を返す設計」
へ進むと、C言語の強さが一気に実感できますよ。
