
C言語入門|ポインタがプログラムを速く・軽くする理由
RPGゲームで体感するポインタの本当の価値
ここまでで、
アドレス演算子、間接演算子、ポインタ型と、
C言語の中でも特にクセの強い要素を一気に学んできました。
でも、正直こう思っていませんか?
「書けるようにはなったけど……
これ、RPGゲームで何の役に立つの?」
とても自然な疑問です。
そこで今回は、RPGゲームのプログラムを題材にして、
ポインタが「速く・軽いコード」を生み出す理由をはっきりさせていきましょう。

ポインタの存在意義は実はとてもシンプル
結論から言います。
ポインタの存在意義
メモリ使用量を抑え、処理を高速化するため
魔法でも裏技でもありません。
ムダを出さないための道具、それがポインタです。
なぜC言語は「軽さ」と「速さ」にこだわるのか
C言語は、RPGゲームだけでなく、
- 家庭用ゲーム機
- 組み込み機器
- OSやドライバ
など、限られた資源で動く世界で使われます。
RPGゲームでも、
- キャラクタ数が増える。
- ステータスが増える。
- 処理が複雑になる。
ほど、無駄なコピーは積み重なって重くなっていきます。
RPGゲームのキャラクタ構造体を考えてみよう
本格的なRPGでは、プレイヤーキャラの情報は非常に多くなります。
typedef struct {
String name;
int level;
int hp;
int mp;
int attack;
int defense;
/* 実際には装備、スキル、状態異常などがさらに続く */
} Player;この Player 構造体は、
仮に 約300バイト を使っているとしましょう。
ポインタを使わない場合(値渡し)
次のような「ステータス表示関数」を作ったとします。
void showPlayerStatus(Player p)
{
printf("名前:%s Lv:%d HP:%d MP:%d\n",
p.name, p.level, p.hp, p.mp);
}呼び出し側はこうなります。
Player hero = {"アレン", 12, 150, 40, 30, 20};
showPlayerStatus(hero);一見、何の問題もありません。
しかし、裏側ではこう動いている
メモリの動き
| 処理 | 内容 |
|---|---|
| ① | hero 用に約300バイト確保 |
| ② | 関数用に p 用の約300バイト確保 |
| ③ | hero の中身がすべて p にコピー |
つまり、
合計メモリ使用量
約600バイト
しかも、この関数で使っているのは
名前・レベル・HP・MPだけ です。
RPGゲーム的に見ると何が問題?
- 大量のステータスを毎回コピー
- 表示するだけなのにフルコピー
- 戦闘・メニューで何度も呼ばれる。
これは、ゲーム全体が重くなる原因になります。
ポインタを使った場合(ポインタ渡し)
では、同じ処理をポインタで書き直してみましょう。
void showPlayerStatus(Player *p)
{
printf("名前:%s Lv:%d HP:%d MP:%d\n",
p->name, p->level, p->hp, p->mp);
}呼び出し側はこうなります。
Player hero = {"アレン", 12, 150, 40, 30, 20};
showPlayerStatus(&hero);ここで登場する「->」とは何か?
アロー演算子の正体
アロー演算子は、構造体ポインタ専用の記法です。
書式は次のとおりです。
ポインタ変数->メンバ名これは実は、省略記法にすぎません。
本来の書き方を展開してみよう
関数内で受け取っている p は、
- Player型のデータそのものではない。
- Player型データの「アドレス」を持っている。
変数です。
つまり、
*pと書くと、
pが指している先にある Player構造体
に化けます。
そのため、本来はこう書けます。
(*p).name
(*p).level
(*p).hp
(*p).mpこれをまとめたのがアロー演算子
| 書き方 | 意味 |
|---|---|
| (*p).hp | pが指す構造体のhp |
| p->hp | 上とまったく同じ意味 |
つまり、
p->hpは
(*p).hpの省略形なのです。
なぜアロー演算子が必要なのか
理由はとても実用的です。
可読性の問題
printf("%d", (*p).hp);よりも、
printf("%d", p->hp);のほうが圧倒的に読みやすいですよね。
RPGゲームでは、
- ステータス参照
- AI処理
- 戦闘計算
などで構造体ポインタを頻繁に使います。
そのたびに (*p).member と書くのは大変なので、
構造体ポインタ専用の記法として -> が用意されているのです。
メモリの使われ方が一変する
メモリの動き
| 処理 | 内容 |
|---|---|
| ① | hero 用に約300バイト確保 |
| ② | 関数には hero のアドレスだけ渡る(約8バイト) |
| ③ | 必要な情報だけを参照 |
合計メモリ使用量
約308バイト
コピーは一切発生しません。
RPG的なたとえで理解しよう
これは次の違いです。
| 方法 | RPG的イメージ |
|---|---|
| 値渡し | 勇者の全ステータスを写した分厚い書類を渡す。 |
| ポインタ渡し | 「勇者はこの場所にいるよ」と場所だけ伝える。 |
場所を教えるだけ
これがポインタの本質です。
なぜプログラムが速くなるのか
理由はとても単純です。
| 比較 | 値渡し | ポインタ渡し |
|---|---|---|
| データコピー | 多い | なし |
| メモリ消費 | 大 | 小 |
| CPU負荷 | 高 | 低 |
RPGゲームでは、
- ステータス表示
- 戦闘処理
- AI判断
など、関数呼び出しが大量に行われます。
ポインタを使うだけで、積み重なった負荷を一気に減らせるのです。
用語整理:値渡しとポインタ渡し
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 値渡し | データそのものをコピーして渡す。 |
| ポインタ渡し | データの場所(アドレス)だけを渡す。 |
C言語のRPGプログラムでは、
構造体は基本的にポインタ渡し
これが定石になります。
まとめ:ポインタはRPGを支える縁の下の力持ち
ポインタは派手ではありません。
でも、
- メモリを節約し
- 処理を速くし
- 大規模なゲームを支える
ために欠かせない存在です。
RPGゲームがスムーズに動く裏側には、
必ずポインタがあります。
この内容なら、
RPGゲーム開発 × ポインタの必然性 が
かなり腹落ちする構成になっています。
次は
- 配列とポインタ
- 構造体とポインタ
- 関数設計のベストプラクティス
へ自然につなげられますよ。
