
【Python入門】16章で学ぶ内容
前章(15章)では、データベースやWebプログラミングを学習し、サーバサイドで動くPythonアプリケーションの基礎を身につけました。オンラインショッピングやSNSなど、多様なWebサービスにPythonとデータベースがどのように組み合わされるかを体感していただいたことで、実践的なシステムの骨格が理解できたはずです。ここまで学んできた知識を活かして、ぜひ自分なりのプロジェクトやアイデアを進めてみてください。

ここまでの学習を振り返ってみると…
- データベースの操作
・SQLiteを用いたSQL文の発行(SELECT/INSERT/UPDATE/DELETE)
・Pythonからテーブルを作成し、各種データをやり取りする流れ - Webアプリケーションの作成
・標準ライブラリの簡易Webサーバやフレームワークを使ったフォーム入力・ログイン処理の仕組み
・データベースとの連携で、ユーザの状態やログイン情報を扱う実用的な機能
これらはPythonを使ったサーバサイド開発の基本中の基本です。データが膨大になっても、アプリケーションの規模が大きくなっても、これまで学んだ基礎が役立つでしょう。今の成果に自信を持って、さらにスキルを伸ばしていきましょう。
16章で学ぶ内容:Pythonのオブジェクト指向をさらに深く知る
Pythonのオブジェクト指向については、基本機能を7章で学びました。しかし、ここではもう一歩踏み込んだ発展的な機能を学んでいきます。少し高度なテクニックにはなりますが、クラスやオブジェクトの特性を活かしてコードをシンプルかつ強力に書けるようになる重要な知識です。
- ダックタイピングと抽象クラス
・ダックタイピング(duck typing)を使うと、明確な型指定をしなくても、「そのオブジェクトが使えるメソッド・属性」をもとに処理を進めることができます。
・抽象クラス(abstract class)は、派生クラスで具体的な実装を強制する仕組みで、APIの設計やライブラリの拡張性向上に役立ちます。 - 特殊メソッドの定義
・__init__
や__repr__
などの特殊メソッド(魔法メソッド)を利用し、クラスの振る舞いを柔軟にカスタマイズします。
・リストや辞書のように演算子や組み込み関数と連動した振る舞いをもたせる方法を学びます。 - デコレーターの利用
・関数やクラスの機能を簡単に拡張するデコレーターをより深く理解し、実装例を確認します。
・メソッドやプロパティのカスタマイズ、ログ出力・キャッシュなどの応用パターンも紹介します。 - 属性の仕組み
・Pythonでオブジェクトの属性を管理する仕組みを詳細に把握し、property
を使ったアクセス制御や読み取り専用プロパティなどを実現。
・__getattr__
や__setattr__
といった属性フックの使いどころを解説します。
上記の機能をマスターすることで、Pythonらしいオブジェクト指向コードを書けるようになり、大規模なプロジェクトでも保守性と拡張性を両立した設計が可能となります。
エスカレートして高度なテクニックを使う必要は必ずしもありませんが、いざというときに効果的に使うと、コードの可読性やDRY(Don’t Repeat Yourself)原則を強化できます。次章の16章ではこれらを中心に学んでいきましょう。