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【Python入門】メソッドの呼び出し

メソッドの呼び出し
メソッドの呼び出しは、オブジェクトが持つ機能を実行するための基本操作です。通常の関数呼び出しと似ていますが、必ず対象となるオブジェクトを指定して呼び出す点が特徴です。ここでは、メソッド呼び出しの基本文法とその実践例について、具体的なコード例や表を用いながら詳しく解説していきます。

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1.メソッド呼び出しの基本概念
1.1. メソッド呼び出しの文法
メソッドを実行する際の基本的な書き方は以下の通りです。
オブジェクト.メソッド名(引数, …)
この構文は、関数を呼び出すときの形式に似ていますが、必ずどのオブジェクトのメソッドであるかを明示する点が異なります。たとえば、ある変数 obj
に格納されたオブジェクトのメソッド execute
を呼び出す場合は、次のように記述します。
obj.execute(引数1, 引数2)
1.2. オブジェクトとメソッドの関係
メソッドは、オブジェクトに関連付けられた関数であり、そのオブジェクトが持つデータを操作するために利用されます。以下の表は、一般的な組み込み型オブジェクトとそれに付随する代表的なメソッドの例です。
オブジェクトの種類 | 主なメソッド例 | 説明 |
---|---|---|
リスト | append, pop, sort | 要素の追加、削除、並べ替え |
文字列 | upper, lower, split | 大文字・小文字変換、文字列の分割 |
辞書 | keys, values, items | キーや値、キーと値のペアの取得 |
このように、各オブジェクトにはそれぞれ特有のメソッドが用意されており、オブジェクト固有の処理を実行するために利用されます。
2.メソッド呼び出しの実践例と解説
2.1. 組み込み型オブジェクトでのメソッド呼び出し
ここでは、組み込み型である list
クラスを使用して、変数に保存されたオブジェクトに対してメソッドを呼び出す例を示します。以下のプログラムは、空のリストを生成し、append
メソッドを用いて3つの文字列を追加するものです。
# 空のリストを生成し、変数 my_list に保存する
my_list = list() # または、 my_list = []
# append メソッドを利用してリストに要素を追加する
my_list.append("Alpha") # 文字列 "Alpha" をリストの末尾に追加
my_list.append("Beta") # 文字列 "Beta" を追加
my_list.append("Gamma") # 文字列 "Gamma" を追加
# 追加された要素を確認するため、リストの内容を表示する
print(my_list) # 出力結果: ['Alpha', 'Beta', 'Gamma']
実行結果
['Alpha', 'Beta', 'Gamma']
この例では、list()
によって空のリストが生成され、そのオブジェクトが my_list
という変数に保存されています。以降、my_list
に対して append
メソッドを使うことで、リストの末尾に新しい要素が順次追加され、最終的に3つの文字列が含まれるリストとなります。
2.2. 変数を利用したメソッド呼び出しのメリット
オブジェクトを変数に代入することで、同じオブジェクトに対して複数回メソッド呼び出しが可能となり、コードの再利用性が向上します。たとえば、上記の例では my_list
という変数を通じて何度でも append
メソッドを呼び出せるため、後から他の要素を追加したり、異なる操作を行ったりすることが容易です。
また、変数に保存しておくことで、生成されたオブジェクトの状態を保持し、必要なときにその状態を参照または更新することができます。これは、複雑なプログラムにおいてデータの一貫性を保つために非常に重要な概念です。
まとめ
ここでは、Pythonにおけるメソッドの呼び出し方法について、基本的な文法とその実践例を通じて解説しました。オブジェクトに対してメソッドを呼び出す際は、「オブジェクト.メソッド名(引数, …)」という形式を用い、対象となるオブジェクトを明示する必要があります。組み込み型である list
クラスの例では、変数に保存したオブジェクトに対して append
メソッドを呼び出し、リストの末尾に要素を追加する手法を確認しました。これらの知識を活用することで、より効率的にオブジェクト指向プログラミングを実践できるようになります。