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【Python入門】関数のキーワード引数と位置引数

関数のキーワード引数と位置引数とは?
Pythonの関数を効果的に活用するためには、引数(アーギュメント)の渡し方を理解することが重要です。特に、位置引数とキーワード引数の使い分けは、コードの可読性や柔軟性を大きく向上させます。ここでは、これらの引数の基本的な概念から具体的な使い方、注意点までを順を追って解説します。

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1.引数の基本概念
関数に値を渡す方法として、主に位置引数とキーワード引数の2種類があります。これらを理解することで、関数の呼び出し方に柔軟性が生まれ、コードの意図を明確に伝えることが可能となります。
- 位置引数(Positional Arguments)
引数を渡す順序(位置)によって、関数がどの引数にどの値を割り当てるかを決定します。順序が重要であり、誤った順序で引数を渡すと意図しない結果になる可能性があります。 - キーワード引数(Keyword Arguments)
引数名を指定して値を渡す方法です。引数の順序に依存せず、値を明示的に指定するため、コードの可読性が向上します。
2.位置引数の使い方
位置引数は、関数に値を渡す際に最も基本的な方法です。値を関数の引数リストの順番に従って渡します。
例: print
関数での位置引数の使用
print('Hello', 'World')
実行結果
Hello World
ポイント
'Hello'
と'World'
は、print
関数の最初と二番目の位置引数として渡されます。- 引数の順序がそのまま出力に反映されるため、順番を変更すると出力も変わります。
3.キーワード引数の使い方
キーワード引数を使用すると、引数名を指定して値を渡すことができます。これにより、引数の順序に依存せずに値を渡すことが可能です。
例: print
関数でのキーワード引数の使用
print('Hello', end='!!!')
実行結果
Hello!!!
ポイント
end='!!!'
は、print
関数のend
パラメータに対して'!!!'
を指定しています。- デフォルトでは、
print
関数は出力の末尾に改行文字(\n)を追加しますが、end
パラメータを変更することでその動作をカスタマイズできます。 - キーワード引数を使用することで、どの引数に値を渡しているかが明確になり、コードの可読性が向上します。
4.位置引数とキーワード引数の併用
位置引数とキーワード引数は同時に使用することができますが、位置引数は先に、キーワード引数は後に渡す必要があります。この順序を守らないと、構文エラーが発生します。
正しい記述例
print('Hello', end='!!!')
実行結果
Hello!!!
間違った記述例
print(end='!!!', 'Hello')
実行結果
Cell In[5], line 1
print(end='!!!', 'Hello')
^
SyntaxError: positional argument follows keyword argument
ポイント
- 正しい順序: 位置引数 → キーワード引数
- エラーの原因: キーワード引数の後に位置引数を配置すると、Pythonはどの引数に値を割り当てるべきか混乱し、構文エラーを発生させます。
- 引数の順序を守ることで、エラーを防ぎ、意図した通りに関数を呼び出すことができます。
5.キーワード引数の利点
キーワード引数を使用することで、以下のような利点があります。
利点 | 説明 |
---|---|
可読性の向上 | 引数名が明示されるため、関数が何を期待しているかが一目で分かる。 |
順序に依存しない | 引数の順番を気にせずに値を渡せるため、順序ミスのリスクが減る。 |
デフォルト値のオーバーライド | 必要な引数だけを指定して、他の引数はデフォルト値を使用できる。 |
柔軟な関数呼び出し | 引数の追加や変更があっても、既存の呼び出しコードに影響を与えにくい。 |
例: 関数定義とキーワード引数の使用
def greet(name, greeting="Hello"):
print(f"{greeting}, {name}!")
greet(name="Alice", greeting="Hi")
greet(greeting="Good morning", name="Bob")
greet("Charlie")
実行結果
Hi, Alice!
Good morning, Bob!
Hello, Charlie!
ポイント
greet("Charlie")
の場合、greeting
はデフォルト値の"Hello"
が使用されます。- キーワード引数を使用することで、引数の順序を変更しても正しく動作します。
6.よくあるエラーと対処法
キーワード引数と位置引数を混在させる際に発生しやすいエラーと、その対処法について紹介します。
エラー例: 位置引数がキーワード引数の後に来る
print(end='!!!', 'Hello')
エラーメッセージ
Cell In[7], line 1
print(end='!!!', 'Hello')
^
SyntaxError: positional argument follows keyword argument
対処法
- 位置引数を先に、キーワード引数を後に配置する
正しい順序で引数を渡すことでエラーを回避します。
修正後のコード
print('Hello', end='!!!')
実行結果
Hello!!!
ポイント
- 関数呼び出し時には、常に位置引数を先に、キーワード引数を後に配置することを心がけましょう。
まとめ
ここでは、Pythonの関数における位置引数とキーワード引数の基本的な使い方とその違いについて学びました。
項目 | 説明 |
---|---|
位置引数 | 引数の順序に依存して値を渡す方法。シンプルだが順序ミスに注意。 |
キーワード引数 | 引数名を指定して値を渡す方法。可読性が高く、順序に依存しない。 |
併用時のルール | 位置引数を先に、キーワード引数を後に渡す必要がある。 |
キーワード引数の利点 | 可読性の向上、順序に依存しない、デフォルト値のオーバーライドが可能。 |
これらの知識を活用することで、関数の呼び出しがより明確で柔軟になり、複雑な関数でも理解しやすくなります。実際にJupyterLabなどの実行環境でコードを書き、位置引数とキーワード引数の違いを体験することで、さらに理解を深めましょう。