このページで解説している内容は、以下の YouTube 動画の解説で見ることができます。
【Python入門】関数の共通する使い方

関数の共通する使い方
ここでは、Pythonにおける「関数」の基本的な使い方を学びます。Pythonには print
関数をはじめ、多種多様な機能を持つ関数が用意されています。引数(ひきすう)を渡して呼び出し、戻り値を受け取る。この一連の流れは多くの関数で共通する仕組みです。ここでの解説を通じて、関数の引数と戻り値がどのように処理されるかを理解しましょう。

プログラムのダウンロード
「ダウンロード」から、JupyterLab で実行できるサンプルプログラムがダウンロードできます。ファイルは、ESET Endpoint Securityでウイルスチェックをしておりますが、ダウンロードとプログラムの実行は自己責任でお願いいたします。
1.関数の基本構造と呼び出し方法
基本的に、関数は「関数名(引数)」という形で呼び出します。関数名は実行したい処理を指定するための識別子であり、引数はその関数が動作するために必要なデータとなります。
関数名(引数)
+------------------+ 引数を渡す +------------------+
| 呼び出し元の | ------------------------> | 関数 |
| プログラム | <------------------------ | |
+------------------+ 戻り値を返す +------------------+
関数の基本構造
関数は、特定の処理を再利用しやすい形でまとめたものです。関数を利用する際の基本的な構造は以下の通りです。
用語 | 説明 |
---|---|
関数名 | 関数の処理を指定する名前。例: print , len , max |
引数 | 関数に渡すデータ。関数はこのデータを利用して処理を行う。 |
戻り値 | 関数が処理結果として返す値。関数によっては戻り値がない場合もある。 |
関数の呼び出し方
また、関数は呼び出し元から引数を受け取り、処理を実行して結果(戻り値)を返す仕組みになっています。下図のように、呼び出し元は関数に引数を渡し、関数は計算などの処理をして戻り値を返します。

関数の呼び出し方は、引数の数によって異なります。基本的な呼び出し方を以下に示します。
呼び出し方法 | 例 | 説明 |
---|---|---|
引数がない場合 | 関数名() | 引数を渡さない場合の関数の呼び出し方法。 |
引数が1つの場合 | 関数名(引数) | 引数1つを関数に渡す場合の呼び出し方法。 |
引数が複数ある場合 | 関数名(引数1, 引数2) | 複数の引数をカンマで区切って渡す方法。 |
関数の呼び出しと引数
Pythonで関数を使うときは、「関数名(引数)」 という形が基本です。たとえば print(引数)
のように書くと、print
関数が引数を表示して処理を終了します。また、引数が複数必要な関数においては、カンマ(,)区切りで複数の値を渡すことも可能です。
下表は、よくある関数の呼び出しパターンをまとめたものです。
形 | 例 | 意味 |
---|---|---|
関数名() | print() | 引数がない場合 |
関数名(x) | len('Hello') | 引数が1つの場合 |
関数名(x, y) | max(10, 20) | 引数が2つ以上の場合 |
対話モードでは print
を省略して、ただ関数を呼び出すだけでその戻り値を表示することができます。
サンプルプログラム
引数がない場合
print()
実行結果
#改行される
引数が1つの場合
len('Hello')
実行結果
5
引数が2つ以上の場合
max(10, 20)
実行結果
20
2.戻り値の活用例
関数は、呼び出し元のプログラムから引数を受け取り、何らかの処理を行って結果(戻り値)を返します。
この仕組みにより、関数が返した値は、他の計算の一部として利用できるなど、柔軟に活用できます。たとえば、len関数を使えば、指定した文字列の長さを取得できます。
サンプルプログラム
len関数
print(len('Hello!World!') * 2)
実行結果
24
この場合、'Hello!World!' は 12文字なので、それを2倍した結果「24」が表示されます。
また、max関数を利用して複数の数値のうち最大値を求め、その戻り値をさらに計算に利用することもできます。
max関数
print(max(10, 5, 30, 7) * 2)
実行結果
60
ここでは、max(10, 5, 30, 7) が 30 を返し、それを2倍した結果「60」が表示されます。
3.戻り値がない関数と None の扱い
Pythonでは、関数が特に何も返さない場合、すなわち戻り値を意図的に設定していない場合、「何もない」ことを表す特殊な値 None
が自動的に返されます。たとえば、print
関数は渡された引数を画面に表示するだけで、その後特定の値を返さないため、実際には None
が戻り値として返されます。
print(print())
このコードを実行すると、最初の内側の print()
の実行により、空行が表示された後、外側の print
関数が内側の print()
の戻り値である None
を出力します。したがって、出力は以下のようになります。
サンプルプログラム
print(print())
実行結果
Hello
Hello, HelloPython
関数の共通する使い方のまとめ
これまでに、関数は「関数名(引数)」という形で呼び出され、引数に渡されたデータに基づいて処理を行い、必要に応じて戻り値を返すという基本的な仕組みを説明しました。以下の表に、関数の基本要素をまとめています。
要素 | 説明 |
---|---|
関数の呼び出し | 関数名(引数) と書き、複数の引数はカンマで区切って渡す |
戻り値 | 関数が処理結果を返す値。戻り値は、他の式の一部として利用できる |
戻り値がない場合 | 意味のある値を返さない関数は、None を返す(例:print関数) |
この基本知識を身につけることで、Pythonの組み込み関数だけでなく、自作の関数も効果的に利用することができ、複雑な処理をシンプルに記述できるようになります。次のコンテンツでは、関数のキーワード引数と位置引数について詳しく解説していきます。