C言語の基本|C言語を学ぶための開発環境

C言語の学習は、コードを書く前の環境づくりから始まる。道具の役割を理解して、迷わずプログラミングを始めよう。

C言語を学び始めると、

「早くプログラムを書いてみたい」

「画面に文字を表示してみたい」

「実際に動くコードを作ってみたい」

と思うのではないでしょうか。

C言語の文法を覚えることももちろん大切ですが、実際にプログラムを動かすためには、その前に準備しておかなければならないものがあります。

それが開発環境です。

特にWindowsでC言語を学ぶ場合は、最初からC言語のソースコードを書いて実行できる環境がすべて整っているとは限りません。

そこで、

  • ソースコードを書くための道具
  • ソースコードをコンピュータが実行できる形へ変換する道具
  • それらの道具を操作する方法

を準備する必要があります。

最初は、

「コードを書くだけなのに、どうしてこんなに準備が必要なのだろう」

と感じるかもしれません。

しかし、ここで開発環境の役割を理解しておくことは、その後のC言語学習にとても役立ちます。

たとえば、プログラムが実行できなかったときにも、

「ソースコードに問題があるのか」

「コンパイラーに問題があるのか」

「コマンドの入力方法に問題があるのか」

と、原因を切り分けて考えられるようになります。

反対に、開発環境の仕組みをよく分からないまま使っていると、エラーが発生したときに、

「何が動いていないのか分からない」

という状態になりやすくなります。

そのため、C言語学習では、環境を作ること自体も大切な学習の一部です。

この教材ではWindowsを中心に、

  • Visual Studio Code
  • GCC
  • CLI

という3つを組み合わせてC言語を学習していきます。

この段階では、細かなインストール手順をすべて覚える必要はありません。

まずは、

何を用意するのか

それぞれ何のために使うのか

どのようにつながっているのか

を理解して、これから行う環境構築の全体像をつかんでいきましょう。

開発環境とは何か

開発環境とは、プログラムを作るために必要になる道具や仕組みをまとめた環境のことです。

C言語では、基本的に次のような流れでプログラムを作ります。

  1. C言語のソースコードを書く
  2. ソースコードを保存する
  3. コンパイラーでコンパイルする
  4. 実行できるプログラムを作る
  5. プログラムを実行する
  6. 実行結果を確認する
  7. 必要があればソースコードを修正する

つまり、プログラミングとは、単に文字を入力するだけの作業ではありません。

書く → 変換する → 実行する → 確認する

という一連の作業を繰り返します。

この一連の作業を行えるようにするものが開発環境です。

開発環境の基本的な役割

項目内容
開発環境プログラムを作成・変換・実行するための環境
ソースコード作成テキストエディターを使ってC言語を書く
コンパイルコンパイラーを使って実行可能な形へ変換する
操作CLIなどを使ってコンパイラーやプログラムを実行する
結果確認実行結果やエラーメッセージを確認する
学習上の目的コードを書いて実際に動かすところまで経験する

初心者が特に覚えておきたいのは、開発環境は必ずしも1つのソフトウェアではないということです。

C言語の学習では、役割の異なる複数の道具を組み合わせて利用します。

C言語の学習では実際に動かすことが大切

プログラミングは、本を読んだり文法を暗記したりするだけでは身につきにくい分野です。

たとえば、ifという条件分岐の書き方を読んで理解したつもりでも、実際に自分で入力すると、

  • セミコロンを忘れる
  • 波かっこの位置を間違える
  • 条件式を間違える
  • 変数名を入力し間違える

といったことがあります。

そして、その間違いをコンパイラーから教えてもらい、自分で修正することで理解が深まります。

C言語では、

書く

だけでなく、

  • コンパイルする
  • エラーを確認する
  • 修正する
  • もう一度コンパイルする
  • 実行する

という経験がとても大切です。

そのため、開発環境を作ることは、C言語を本格的に学ぶためのスタート地点になります。

C言語の開発で用意する3つの道具

この教材では、C言語の学習に必要な中心的な道具として、次の3つを使います。

  • テキストエディター
  • コンパイラー
  • CLI

それぞれ役割が違います。

C言語開発で使用する主な道具

道具主な役割この教材で利用するもの
テキストエディターC言語のソースコードを書くVisual Studio Code
コンパイラーソースコードを実行可能な形へ変換するGCC
CLIコマンドを入力してコンパイルや実行を行うPowerShellまたはコマンドプロンプト

この3つを簡単に表現すると、

VS Codeで書く → GCCで変換する → CLIから操作して実行する

という関係になります。

この流れを最初に頭に入れておくと、これからインストールするソフトウェアが何のために必要なのか分かりやすくなります。

図1:C言語の開発に必要な3つの道具

この図から分かること

C言語の開発では、1つの道具だけですべての作業を行うわけではありません。

まずテキストエディターを使ってC言語のソースコードを書きます。

次に、そのソースコードをコンパイラーへ渡し、コンピュータが実行できる形へ変換します。

そしてCLIを使ってコンパイラーを操作したり、作成されたプログラムを実行したりします。

この3つには、それぞれ異なる役割があります。

初心者の段階では、

テキストエディター = 書く道具

コンパイラー = 変換する道具

CLI = 操作する方法

と覚えると分かりやすいでしょう。

テキストエディターはソースコードを書くための道具

最初に必要になるのがテキストエディターです。

テキストエディターは、文字を入力したり修正したりするソフトウェアです。

C言語では、ソースコードを文字として記述するため、何らかのテキストエディターが必要になります。

Windowsには文字を入力できるアプリケーションがありますが、プログラミングを学ぶのであれば、プログラミング向けの機能を備えたテキストエディターを利用すると便利です。

この教材ではVisual Studio Code、一般にVS Codeと呼ばれるエディターを使用します。

テキストエディターの役割

項目内容
主な役割ソースコードを入力・編集する
保存するものC言語のソースファイル
初心者への効果コードを読みやすく整理できる
この教材VS Codeを使用
注意点エディターだけではC言語を実行できない

最後の項目は特に重要です。

VS Codeをインストールしただけで、C言語をすぐ実行できるとは限りません。

VS Codeは基本的にコードを書くための場所です。

実際にC言語をコンパイルするためには、別途コンパイラーが必要です。

ここを混同すると、

「VS Codeを入れたのにC言語が動かない」

という疑問につながりやすいので注意しましょう。

プログラミング向けエディターは何が便利なのか

通常の文字入力用ソフトウェアでもC言語のコードを書くこと自体はできます。

しかし、プログラミング向けのエディターには、コードを書く作業を助けるさまざまな機能があります。

初心者に特に役立つ代表的なものが、

  • コード補完
  • シンタックスハイライト
  • 自動インデント

です。

プログラミング向けエディターの便利な機能

機能できること初心者にとってのメリット
コード補完入力途中から候補を表示する入力ミスを減らしやすい
シンタックスハイライトコードを種類ごとに色分けするコードの構造を確認しやすい
自動インデント字下げを自動的に整える処理のまとまりを見やすくできる

これらは単に見た目をきれいにするための機能ではありません。

たとえばC言語では、ifやfor、関数などで波かっこを使います。

コードが長くなったときにインデントが整っていると、

「この処理はどのifの中にあるのか」

「この波かっこはどこまでの処理なのか」

を判断しやすくなります。

また、シンタックスハイライトによって、キーワードや文字列などが色分けされれば、記述ミスに気づきやすくなることもあります。

コード補完は入力を助けてくれる

コード補完は、文字を入力している途中で候補を表示してくれる機能です。

たとえば長い名前の入力や、決まった構文を書くときなどに役立ちます。

初心者の場合、まだ命令や関数名に慣れていないため、スペルミスが起こりやすくなります。

コード補完があれば、入力候補を参考にできます。

ただし、補完されたコードを何も考えずに選ぶのではなく、

「何が入力されたのか」

を確認する習慣をつけることも大切です。

開発ツールは学習を助けてくれますが、コードの意味を理解することが最終的な目的です。

シンタックスハイライトでコードを読みやすくする

シンタックスハイライトでは、プログラムの中の要素が種類ごとに色分けされます。

たとえば、

  • キーワード
  • 数値
  • 文字列
  • コメント

などが異なる見た目になります。

長いソースコードをすべて同じ色の文字で見るよりも、構造を把握しやすくなります。

初心者にとっては、

「ここは文字列」

「ここはC言語のキーワード」

と視覚的に判断しやすくなる点もメリットです。

自動インデントで処理のまとまりを見やすくする

インデントとは、行の先頭に空白を入れて字下げすることです。

C言語では、波かっこによって処理の範囲を表します。

インデントそのものがC言語の処理を決定するわけではありませんが、正しく字下げされているコードは圧倒的に読みやすくなります。

たとえば条件分岐の中にさらに繰り返しがある場合でも、インデントが整っていれば階層関係を確認しやすくなります。

つまり、自動インデントには、

プログラムの構造を視覚的に整理する

という重要な役割があります。

この教材でVS Codeを使う理由

この教材では、C言語を書くエディターとしてVS Codeを使用します。

VS Codeを利用する理由はいくつかあります。

VS Codeの特徴

特徴内容初心者にとってのメリット
シンプルに使い始められる基本的な編集画面が分かりやすいコードを書くことに集中しやすい
拡張機能を追加できる必要に応じて機能を増やせる学習が進んでも使い続けやすい
複数のOSで利用できるWindows、macOS、Linuxなどで利用できる環境が変わっても操作経験を活かしやすい
無料で利用できる学習開始時の費用を抑えられる気軽に導入できる
多くの言語を扱えるC言語以外のコードにも利用できる将来別言語を学ぶときにも使いやすい

C言語を学ぶためだけに特殊なエディターを覚えるのではなく、その後ほかの言語を学習するときにも利用できるエディターに慣れておくことにはメリットがあります。

ただし、VS CodeそのものがC言語のコンパイラーではありません。

この違いは必ず理解しておきましょう。

コンパイラーはC言語を実行できる形へ変換する

テキストエディターでC言語を書いたら、次に必要になるのがコンパイラーです。

C言語のソースコードは、人間が読み書きしやすい形になっています。

しかし、CPUがC言語のソースコードをそのまま読んで実行しているわけではありません。

そこで、C言語で書かれたソースコードをコンピュータが実行できる形へ変換する必要があります。

その役割を担当するのがコンパイラーです。

コンパイラーの基本的な役割

項目内容
入力C言語のソースコード
主な処理ソースコードを実行可能な形へ変換する
出力実行するためのプログラム
学習上の重要度C言語を実際に動かすために必要
この教材GCCを利用する
エラー時ソースコードの問題をメッセージで知らせる

C言語学習では、コンパイラーはなくてはならない存在です。

VS Codeでどれだけ正しいソースコードを書いても、コンパイラーがなければ通常のC言語学習で行うコンパイル作業ができません。

コンパイルとは何をしているのか

コンパイルという言葉は、これからC言語を学ぶ中で何度も登場します。

初心者の段階では、

人間向けに書いたC言語を、コンピュータが実行できる形へ変換する処理

と理解するとよいでしょう。

基本的なイメージは次のようになります。

C言語のソースコード → コンパイラー → 実行できるプログラム

つまり、エディターとコンパイラーは役割が違います。

エディターはソースコードを作る場所です。

コンパイラーは、作られたソースコードを処理する道具です。

コンパイラーは間違いも教えてくれる

コンパイラーの役割は、単にプログラムを変換するだけではありません。

ソースコードの中に問題があれば、エラーや警告を表示してくれます。

たとえば、

  • C言語の文法に合っていない
  • 必要な記号が不足している
  • 変数名の使い方に問題がある
  • データ型の扱いに問題がある

といったときに、メッセージが表示されることがあります。

初心者のうちは、このメッセージを見ると難しく感じるかもしれません。

しかし、エラーメッセージは、

コンパイラーからプログラマーへのヒント

と考えることもできます。

どの部分に問題がありそうなのかを確認しながら修正する経験も、C言語学習の重要な一部です。

この教材ではGCCを利用する

この教材では、C言語をコンパイルするためにGCCを利用します。

GCCは、C言語をはじめとしたプログラムのコンパイルに利用できる代表的な開発ツールです。

C言語の教材や開発環境について調べていると、GCCという名前を目にする機会は多いでしょう。

GCCを利用する主な理由

理由内容学習上のメリット
広く利用されているC言語開発でよく知られている情報を調べやすい
複数環境で利用できるさまざまなOS環境で利用される学んだ知識を別環境でも活かしやすい
長い利用実績がある多くの開発で利用されてきた安心して学習用に利用できる
無償で利用できる費用をかけずに導入できる初心者でも始めやすい
CLIから利用できるコマンドでコンパイルできるコンパイルの仕組みを理解しやすい

この教材でGCCを利用する大きな理由の1つは、コンパイルという作業を自分で確認しやすいことです。

ボタンをクリックするだけでコンパイルが完了する環境も便利ですが、最初にGCCをCLIから使うことで、

「今、自分はソースコードをコンパイラーへ渡している」

という流れを意識できます。

CLIは文字でコンピュータへ操作を伝える

次に理解しておきたいのがCLIです。

CLIはCommand Line Interfaceの略です。

日本語では、コマンドラインインターフェースと呼ばれます。

CLIでは、画面上のボタンをマウスでクリックするのではなく、文字でコマンドを入力してコンピュータを操作します。

Windowsでは、代表的なものとして、

  • PowerShell
  • コマンドプロンプト

があります。

macOSやLinuxでは、ターミナルと呼ばれる環境からコマンドを操作することが一般的です。

CLIの基本

項目内容
正式名称Command Line Interface
操作方法コマンドを文字で入力する
WindowsPowerShell、コマンドプロンプト
macOS・Linuxターミナルなど
C言語学習GCCの実行や作成したプログラムの実行に利用
学習効果コンパイルから実行までの流れを確認しやすい

初めてCLIを見ると、

「黒い画面に文字しかなくて難しそう」

と感じるかもしれません。

しかし、C言語学習で最初に使う操作は、それほど大量ではありません。

少しずつ使っていけば慣れていきます。

図2:ソースコードが実行されるまでの開発環境の関係

この図から分かること

C言語の開発では、ソースコードを書いた直後にプログラムが動くわけではありません。

まずVS Codeなどのエディターでソースコードを書き、ファイルとして保存します。

次にCLIからGCCを操作してコンパイルします。

GCCがソースコードを処理し、実行できるプログラムを作ります。

そのあと、作成されたプログラムを実行して結果を確認します。

もし途中でエラーが見つかれば、ソースコードへ戻って修正します。

つまり、C言語の学習では、

編集 → 保存 → コンパイル → 実行 → 確認 → 必要なら修正

という流れを何度も繰り返します。

この流れを理解しておくと、VS Code、GCC、CLIがそれぞれ何のために存在しているのか分かりやすくなります。

なぜC言語学習でCLIを使うのか

現在のコンピュータには便利なGUIがたくさんあります。

それなら、

「わざわざ文字でコマンドを入力しなくてもよいのではないか」

と思うかもしれません。

しかし、C言語の入門学習ではCLIを使うことに大きなメリットがあります。

CLIを利用する理由

理由内容C言語学習での効果
コンパイルを自分で確認できるGCCを直接操作するコンパイラーの役割が分かる
実行の流れが見える作成されたプログラムを自分で実行するソースコードと実行ファイルの違いが分かる
ファイル操作を学べるフォルダー移動などをコマンドで行う開発者としての基礎操作になる
他のツールにも応用できる多くの開発ツールがCLIに対応する将来の学習にも役立つ
エラーを直接確認できるコンパイラーからの出力を確認する問題解決の練習になる

特に重要なのが、

ソースコードを書くことと、コンパイルすることは別の処理

だと実感できる点です。

便利な開発環境では、この2つをボタン1つで行えることがあります。

それは非常に便利ですが、初心者のうちは裏側で何が起きているのか分からないまま操作できてしまうことがあります。

CLIで一度基本的な流れを経験しておけば、後から便利な開発環境を使うときにも、

「このボタンを押した裏側ではコンパイラーが動いている」

と理解できます。

CLIは古い方法ではない

CLIというと、昔のコンピュータで使われていた古い操作方法という印象を持つ人もいるかもしれません。

しかし、CLIは現在のソフトウェア開発でも重要な操作方法です。

開発では、さまざまなツールをコマンドから操作する機会があります。

C言語の学習でCLIに慣れることは、

C言語を動かすためだけの練習

ではなく、

これからさまざまな開発ツールを扱うための基礎練習

にもなります。

最初はコマンドを入力すること自体に慣れていなくても問題ありません。

意味を確認しながら少しずつ使っていけばよいでしょう。

GUIとCLIの違いを理解する

GUIとCLIは、コンピュータを操作する方法の違いです。

GUIはGraphical User Interfaceの略で、ボタン、アイコン、メニューなどの画面要素を使って操作します。

CLIはコマンドを文字で入力して操作します。

GUIとCLIの比較

項目GUICLI
操作方法ボタンやアイコンを操作するコマンドを文字で入力する
初心者の印象視覚的で分かりやすい最初は難しく見えやすい
操作内容画面上から選択するコマンドとして指定する
細かな操作画面に用意された機能を利用するオプションなどを指定しやすい
自動化操作によっては手作業が中心になる複数処理をまとめることもできる
C言語学習手軽に操作できるコンパイルの仕組みを確認しやすい

ここで、

「CLIのほうが優れている」

「GUIは使わないほうがよい」

という意味ではありません。

GUIには、初心者でも操作しやすい大きなメリットがあります。

CLIには、処理の内容を直接指定しやすいというメリットがあります。

大切なのは、目的によって使い分けることです。

この教材では、C言語のコンパイルと実行の仕組みを理解しやすくするためにCLIを利用します。

GUIを使えることとCLIを使えることは両立する

実際の開発では、GUIかCLIのどちらか一方だけを使うとは限りません。

たとえば、

  • VS CodeはGUIで操作する
  • GCCはCLIから実行する
  • ファイルはエクスプローラーから確認する
  • 必要に応じてCLIからフォルダーを移動する

というように組み合わせることができます。

今回の学習環境も、この組み合わせです。

VS Codeでは分かりやすい画面を使ってコードを書き、コンパイルや実行ではCLIを利用します。

つまり、

GUIの便利さ

CLIの分かりやすい処理の流れ

の両方を活用します。

IDEという選択肢もある

プログラミングについて調べていると、IDEという言葉を見かけることがあります。

IDEはIntegrated Development Environmentの略で、日本語では統合開発環境と呼ばれます。

IDEは、プログラミングに必要になるさまざまな機能を1つの環境へまとめたものです。

たとえば、

  • ソースコードの編集
  • コンパイルやビルド
  • プログラムの実行
  • デバッグ

などをまとめて操作できます。

IDEの基本

項目内容
正式名称Integrated Development Environment
日本語統合開発環境
主な機能編集、ビルド、実行、デバッグなど
メリット1つの画面から開発を進めやすい
初心者への注意自動化されている部分の仕組みが見えにくいことがある
この教材まずVS Code・GCC・CLIの関係を理解する

IDEは非常に便利な道具です。

実際の開発では、IDEを使う場面もあります。

しかし、最初からすべて自動化された環境だけを使っていると、

「コンパイルとは何か」

「コンパイラーはどこで動いているのか」

「ソースコードと実行プログラムは何が違うのか」

が見えにくくなることがあります。

IDEを使わないのではなく、先に仕組みを理解する

この教材でCLIを利用するからといって、

「IDEは使わないほうがよい」

という意味ではありません。

むしろ、基本的な仕組みを理解したあとでIDEを利用すると、IDEが何を自動的に行ってくれているのか分かるようになります。

たとえばIDEで「実行」ボタンを押したときにも、

「内部ではソースコードがコンパイルされ、そのあと作成されたプログラムが実行されている」

と想像できます。

この違いは大きいです。

道具の操作だけを覚えるのではなく、裏側の仕組みを理解して使えるようになります。

VS Code・GCC・CLIはどのようにつながるのか

ここまで、それぞれの役割を個別に見てきました。

改めて3つの関係を整理しましょう。

まずVS CodeでC言語を書きます。

書いたソースコードをファイルとして保存します。

そのあとCLIを開きます。

CLIからGCCへ、

「このソースコードをコンパイルしてください」

という操作を行います。

GCCがコンパイルに成功すると、実行するためのプログラムが作られます。

最後にCLIから、そのプログラムを実行します。

流れとして整理すると、次のようになります。

  1. VS Codeを起動する
  2. C言語のソースコードを書く
  3. ソースファイルとして保存する
  4. CLIを開く
  5. GCCを使ってソースコードをコンパイルする
  6. エラーがあればVS Codeへ戻って修正する
  7. コンパイルに成功したらプログラムを実行する
  8. 結果を確認する

この流れは、これからC言語を学ぶ中で何度も繰り返すことになります。

図3:VS Code・GCC・CLIを使ったC言語学習の流れ

この図から分かること

C言語学習は、

コードを書いて終わり

ではありません。

コードを書き、保存し、コンパイルし、実行し、結果を確認するところまでが1つの流れです。

そして、最初から必ず成功するわけでもありません。

コンパイル時にエラーが表示されたら、VS Codeへ戻ってコードを修正します。

修正したら、もう一度コンパイルします。

この、

書く → コンパイル → 確認 → 修正

という繰り返しが、プログラミング学習ではとても大切です。

エラーが出ること自体は失敗ではありません。

エラーの原因を見つけて修正することで、C言語の文法やコンピュータの仕組みへの理解が深まっていきます。

WindowsでC言語を学ぶときの環境を整理する

この教材では、Windowsを中心にC言語の開発環境を準備します。

Windowsで学習する場合に意識しておきたいものを整理すると、次のようになります。

Windowsで準備する開発環境

項目この教材での方針
OSWindows
テキストエディターVS Code
コンパイラーGCC
CLIPowerShellまたはコマンドプロンプト
ソースファイルVS Codeで作成する
コンパイルCLIからGCCを利用する
実行CLIから作成したプログラムを実行する

Windowsの場合、C言語を学ぶための環境を自分で整える作業が必要になります。

最初だけ少し準備する内容がありますが、いったん環境を整えれば、その後は同じ流れで学習を進められます。

Windowsで最初につまずきやすい理由

初心者がWindowsでC言語を学習するとき、コードを書く前の段階でつまずくことがあります。

代表的なのは、

  • VS Codeを入れればC言語が動くと思っていた
  • GCCが利用できる状態になっていない
  • CLIからGCCを実行できない
  • ファイルを保存した場所が分からない
  • CLIで現在いるフォルダーが分からない

といったケースです。

これらはC言語の文法そのものの問題ではありません。

開発環境の問題です。

だからこそ、最初に、

VS Code

GCC

CLI

を別々のものとして理解することが大切です。

「コードのエラー」と「環境のエラー」を分けて考える

C言語学習でとても役立つ考え方があります。

それは、

コードに問題があるのか、開発環境に問題があるのかを分けて考える

ことです。

たとえば、GCCそのものをCLIから起動できないのであれば、まだC言語ソースコードの内容を確認する段階ではないかもしれません。

逆にGCCが動作し、特定のソースコードをコンパイルしたときに文法エラーが表示されるのであれば、ソースコード側を確認します。

問題を切り分けられると、エラーへの対応がずっとしやすくなります。

問題を切り分ける考え方

状況確認する対象
VS Codeが起動しないエディターの環境
GCCを実行できないコンパイラーの環境
CLI操作がうまくいかないコマンドやフォルダー
GCCは動くがコンパイルエラーになるソースコード
コンパイルできるが実行できない実行方法や作成されたファイル

初心者のうちからこの考え方を持っておくと、

「何か分からないけれど動かない」

という状態から、

「どの段階までは正常に動いているのか」

を考えられるようになります。

macOSやLinuxでは環境が少し異なる

この教材ではWindowsを中心に説明しますが、C言語はWindowsだけで利用する言語ではありません。

macOSやLinuxでもC言語を学習できます。

ただし、最初に用意されているツールや導入方法はOSによって異なります。

OSごとの開発環境のイメージ

OS初期状態の傾向学習時に意識すること
Windows追加の開発環境構築が必要になることがあるエディター、コンパイラー、CLIの関係を理解する
macOS開発用ツールを追加して利用する場合がある利用できるコンパイラーを確認する
Linux開発ツールが利用できる場合もあるディストリビューションごとの環境を確認する

ここで重要なのは、

C言語そのものがOSごとに完全に別物になるわけではない

ということです。

開発環境の導入方法やツールの配置などは異なりますが、

  • ソースコードを書く
  • コンパイルする
  • 実行する

という基本的な考え方は共通しています。

そのため、WindowsでCLIやコンパイラーの役割を理解しておけば、将来Linuxなどを使うようになったときにも知識を活かしやすくなります。

最初からすべてのツールを使いこなす必要はない

開発環境についてここまで読むと、

「VS Codeも覚えて、GCCも覚えて、CLIも覚えなければならないのか」

と少し大変に感じるかもしれません。

しかし、最初からすべての機能を使いこなす必要はありません。

VS Codeについても、最初は、

  • ファイルを作る
  • コードを書く
  • ファイルを保存する

ことができれば十分です。

CLIについても、

  • 必要なフォルダーへ移動する
  • GCCを実行する
  • 作成したプログラムを実行する

という基本操作から始めればよいでしょう。

GCCについても、最初からすべてのオプションを覚える必要はありません。

必要な操作を、その都度意味を確認しながら少しずつ増やしていけば十分です。

開発環境は「使える」だけでなく「役割が分かる」ことが大切

初心者向けの環境構築では、

「このボタンを押してください」

「このコマンドを入力してください」

と手順だけを覚えることもできます。

しかし、それだけでは環境が少し変わったときに対応しにくくなります。

そこで、この教材では操作と一緒に、

なぜそのツールを使うのか

も理解していきます。

たとえば、

VS Codeを使うのは、ソースコードを書くためです。

GCCを使うのは、C言語をコンパイルするためです。

CLIを使うのは、GCCや実行プログラムを操作するためです。

この関係が理解できれば、あとで別のエディターや別の開発環境を使うことになっても、

「役割としては同じものが必要になる」

と考えられます。

開発環境を理解するとIDEも分かりやすくなる

VS Code、GCC、CLIを別々に使う経験をすると、後でIDEを使ったときにも理解が深まります。

IDEの画面には、

  • コードを書く場所
  • 実行するボタン
  • エラーを表示する場所
  • デバッグする機能

などがまとめられています。

一見すると、IDEだけでプログラムがすべて動いているように見えます。

しかし、基本を理解していれば、

「コードを書く処理」

「コンパイルする処理」

「実行する処理」

が裏側で連携していると考えられます。

そのため、最初に開発環境の構成を理解しておくことは、将来もっと便利なツールを使うための準備にもなります。

開発環境を整えることもプログラミング学習の一部

C言語の学習というと、変数やif、for、関数などを覚えることだけを想像しがちです。

しかし実際のプログラミングでは、コードを書く以外にも多くの作業があります。

  • ファイルを作る
  • 保存場所を管理する
  • コンパイラーを実行する
  • エラーを読む
  • プログラムを実行する
  • 結果を確認する
  • 問題があれば修正する

こうした一連の作業も、プログラマーが日常的に行う開発作業の一部です。

つまり、開発環境の準備は、C言語学習を始めるためだけの面倒な作業ではありません。

プログラムを自分で作り、自分で動かすための第一歩です。

この段階で覚えておきたい3つの役割

環境構築へ進む前に、まず3つだけしっかり区別しておきましょう。

VS Code

VS Codeは、C言語のソースコードを書くために使います。

基本的な役割は、

書く

ことです。

GCC

GCCは、C言語のソースコードをコンパイルするために使います。

基本的な役割は、

変換する

ことです。

CLI

CLIは、GCCを実行したり、作成されたプログラムを実行したりするために使います。

基本的な役割は、

操作する

ことです。

この3つを組み合わせると、

VS Codeで書く → CLIからGCCを使ってコンパイルする → CLIから作成したプログラムを実行する

というC言語学習の基本的な流れが完成します。

これから環境構築を進めるときも、ただ手順を追うのではなく、

「今インストールしているものは、書くための道具なのか」

「変換するための道具なのか」

「操作するためのものなのか」

と役割を考えながら進めてみてください。

そうすると、開発環境の構成が頭の中で整理され、実際にC言語を書き始めたときにも、コンパイルから実行までの流れを理解しながら学習を進められるようになります。