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【6日でできるVisual Basic2022入門】プログラムのコンパイルと実行

プログラムのコンパイルと実行
Visual Studio Community 2022を使ったアプリケーション開発では、作成したプログラムを「コンパイル」し、「実行」することで初めて動作を確認できます。この過程は、単にプログラムを書くだけでなく、書いた内容をコンピュータが理解し実行できる形に“翻訳”し、必要な部品と“結びつけて”、実際に動かす一連の重要な流れです。ここでは、プログラムのコンパイル・ビルド・実行の仕組みを図や表を使ってわかりやすく解説します。

1.コンパイルとビルドの仕組み
1.1. コンパイルとは
プログラムはそのままではコンピュータが理解できません。
コンパイルとは、プログラミング言語で書かれたプログラムをコンピュータが読める中間言語(IL: Intermediate Language)や機械語へ“翻訳”する処理のことです。
| 用語 | 概要 |
|---|---|
| コンパイル | プログラムを中間言語や機械語に翻訳する処理 |
| 中間言語 | .NETランタイム上で動作するための翻訳済みプログラム |
| 機械語 | CPUが直接理解できる最終的な命令 |
コンパイルのイメージ
プログラム(例:greeting.Text = "こんにちは")
↓コンパイル
中間言語または機械語
↓リンク
アプリケーション(実行ファイル)1.2. ビルドの仕組み
ビルドは、コンパイルやリンクなど一連の作業を自動的にまとめて行う作業です。
Visual Studioでは「ビルド」ボタンひとつでプログラムの翻訳と結びつけ、実行可能なアプリケーション(.exeファイルなど)を生成します。
| 作業 | 説明 |
|---|---|
| コンパイル | ソースコード → 中間言語・機械語に翻訳 |
| リンク | 必要なライブラリやフレームワークと結びつける。 |
| ビルド | 上記の一連の作業をまとめて実行する機能 |
2.アプリケーションの実行
2.1. 実行の手順
Visual Studio Community 2022で作成したアプリケーションは、「(プロジェクト名)」ボタン(例:「SampleApp」)や「開始」ボタンをクリックすることでビルド&実行されます。
| 操作 | 説明 |
|---|---|
| ビルド | プログラムの内容を翻訳して実行可能ファイル(.exe)を生成する。 |
| 実行 | 生成したアプリケーションを起動し、実際に動作を確認できる。 |
| デバッグ | 実行中にプログラムの誤りや挙動を修正することが可能 |
2.2. 実行ファイル(.exe)の保存場所
作成したプログラムは、下記のようなフォルダに実行ファイル(.exe)として保存されます。
| 場所例 | 説明 |
|---|---|
bin\Debug\net8.0-windowsなど | プロジェクト保存先の下層フォルダに自動生成 |
注意
.exeファイルを別のパソコンで動かす場合、.NETランタイム(例:.NET 8.0や9.0)がインストールされている必要があります。
3.デバッグと実践課題
3.1. デバッグ機能
ビルドや実行中にエラーや警告が出る場合、Visual Studioのデバッグ機能を使って効率よく問題点を発見・修正できます。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| デバッグ | プログラムの誤り(バグ)を見つけて修正する作業 |
3.2. 練習操作の例
- Labelコントロールの文字を「名無しさん、こんにちは」に変更してみる。
- Buttonなど、他のコントロールも使ってみる。
プログラムの修正とボタンの追加の操作
1.プログラムの修正
Labelコントロールの「greeting」をダブルクリックします。

コードエディタが表示されます。
プログラムを以下のように修正します。
以下のプログラムの箇所を
Private Sub greeting_Click(sender As Object, e As EventArgs) Handles greeting.Click
greeting.Text = "こんにちは"
End Sub入力して以下のようにします。
Private Sub greeting_Click(sender As Object, e As EventArgs) Handles greeting.Click
greeting.Text = "名無しさん、こんにちは"
End Sub2.Buttonコントロールの追加
ツールボックスからドラッグ&ドロップでButtonコントロールをフォームに配置します。

Textプロパティを「チェンジ」に変更します。

Button1コントロールが以下のように「チェンジ」という表示に変わります。

3.プログラムの追加
Button1コントロールをダブルクリックします。

コードエディタが表示されます。
以下のプログラムの箇所を
Private Sub Button1_Click(sender As Object, e As EventArgs) Handles Button1.Click
End Sub入力して以下のようにします。
Private Sub Button1_Click(sender As Object, e As EventArgs) Handles Button1.Click
greeting.Text = "名無しさん、良い天気ですね"
End Subプログラム実行の操作
1.「▶SampleApp」ボタンをクリックします。

「▶SampleApp」ボタンをクリックすると、自動的にビルドアップが実行されて、アプリケーションが実行され、Form1が表示されます。
2.greetingラベルをクリックします。

すると、表示が「名無しさん、こんにちは」に変わります。

3.Button1をクリックします。

すると、greetingラベルの表示が「名無しさん、良い天気ですね」に変わります。

まとめ
- コンパイルはプログラムを翻訳する作業
- リンクは必要な部品を結びつける作業
- ビルドはコンパイル~リンクまでを自動でまとめて実行
- 実行は、作成したアプリケーションを実際に動かすこと
- .exeファイルの保存場所や.NETランタイムの存在も意識しておこう
用語のまとめ
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| コンパイル | プログラミング言語で書いた内容をコンピュータが理解できる言語に翻訳すること |
| リンク | 機械語や中間言語と必要なライブラリを結びつける作業 |
| ビルド | コンパイル・リンクなど一連の作業を自動でまとめて実行する機能 |
| 実行 | 実際にプログラムを動作させて動きを確認すること |
| デバッグ | プログラムの間違いや不具合を修正する作業 |
実行可能な.exeファイルは「bin→Debug→net8.0-windows」などのフォルダに保存されるので、ファイルの場所やランタイム環境もあわせて確認しましょう。
