【6日でできるPython入門】変数

 プログラミングにおいて変数は、データや計算結果を一時的に保存し、名前を付けて管理できる仕組みです。Pythonに限らず全てのプログラミング言語でとても重要な役割を担っています。たとえば、計算結果や入力データを扱いたいとき、変数を使うことでプログラムが柔軟かつ効率的になります。
 ここでは、Pythonでの変数の使い方や命名ルール、再代入、短縮演算子などについて詳しく解説します。

1.変数の基本

1.1. 変数の宣言と利用

 Pythonでは変数に値を代入するとき、特別な宣言は必要なく、いきなり名前を付けて使い始められます。
 ここでは、「本のタイトル・著者・価格」をそれぞれ変数に代入し、最終的にメッセージとして出力するプログラム例を紹介します。

ファイル名: lesson03-1.py

# 本の情報を変数で管理し、出力するプログラム

title = "はじめてのPython"
author = "田中太郎"
price = 1800

print("【本の情報】")
print("タイトル:", title)
print("著者:", author)
print("価格:", price, "円")

実行結果

【本の情報】
タイトル: はじめてのPython
著者: 田中太郎
価格: 1800 円

解説

内容
title = ...文字列(本のタイトル)を変数titleに代入
author = ...文字列(著者名)を変数authorに代入
price = ...整数(価格)を変数priceに代入
print(...)変数の値を日本語メッセージと共に出力
変数名自由につけられるが、後述するルールを守る必要がある

1.2. 変数の命名ルールと予約語

変数名をつけるには、以下のルールを守る必要があります。

ルール
1文字目はアルファベットまたはアンダースコア〇 book、_book ✕ 1book
2文字目以降は英数字またはアンダースコア〇 book2, book_name, _book_name
大文字・小文字は区別されるBookbook は別の変数
予約語(Pythonで使われている単語)は不可if, for, class などは使えない

Pythonの予約語一覧はkeywordモジュールで確認できます。

ファイル名: lesson03-2.py

import keyword
print(keyword.kwlist)

実行結果

['False', 'None', 'True', 'and', 'as', ... 'with', 'yield']

2.変数の応用

2.1. 変数の再代入・値のコピー

変数は、あとから新しい値を代入(再代入)したり、別の変数に値をコピーすることも可能です。

ファイル名: lesson03-3.py

# 再代入と値のコピーの例
user_name = "山田花子"
print("こんにちは、", user_name, "さん!")

user_name = "鈴木一郎"
print("こんにちは、", user_name, "さん!")

another_user = user_name
print("別のユーザー名:", another_user)

実行結果

こんにちは、 山田花子 さん!
こんにちは、 鈴木一郎 さん!
別のユーザー名: 鈴木一郎
操作説明
再代入変数に新しい値を入れると前の値は上書き
変数への値のコピーanother_user = user_nameのように、変数の値を別の変数にコピー可能

2.2. 変数を使った演算と短縮演算子

変数は計算にも活用できます。
また、短縮演算子を使うとコードを簡潔にできます。

ファイル名: lesson03-4.py

# 短縮演算子の使用例:貯金額を毎月増やす
savings = 5000
print("初月の貯金額:", savings, "円")

savings += 1500  # 2か月目
print("2か月目の貯金額:", savings, "円")

savings *= 2     # ボーナス月(倍になる)
print("ボーナス後の貯金額:", savings, "円")

実行結果

初月の貯金額: 5000 円
2か月目の貯金額: 6500 円
ボーナス後の貯金額: 13000 円
書き方意味
x += yx = x + ysavings += 1500
x -= yx = x - yprice -= 100
x *= yx = x * ysavings *= 2
x /= yx = x / ytotal /= 3

2.3. 変数の値の更新のしくみ

変数 = 変数 + 値 のような書き方は、右辺が先に計算され、その結果が左辺の変数に上書きされます。

ファイル名: lesson03-5.py

score = 80
score = score + 5
print("加点後のスコア:", score)

実行結果

加点後のスコア: 85

このような書き方はとても頻繁に出てくるため、短縮演算子(score += 5 など)を使うと、さらに書きやすくなります。

 このように変数を使いこなすことで、プログラムに「柔軟さ」と「分かりやすさ」を与えることができます。様々なデータを自由自在に扱えるよう、変数の使い方をしっかり身につけましょう。