【6日でできるHTML&CSS入門】HTMLとCSSの歴史

 私たちが日常的に触れているWebページの根幹を支える技術、それが「HTML」と「CSS」です。
現在、Web制作においてこの2つの言語は欠かせませんが、その背景には長い歴史と進化があります。本記事では、HTMLとCSSがどのように誕生し、どのように発展してきたのかを時代ごとに追いながら、Web技術の標準化の流れや主な出来事をやさしく解説していきます。
Webの進化を知ることで、現在の技術仕様の背景や目的もより深く理解できるでしょう。

1.HTMLとCSSのはじまり

1.1. HTMLの誕生と開発者

年代出来事
1989年CERNにてティム・バーナーズ=リー氏がHTMLを考案
1990年最初のWebページとWebブラウザが開発される
  • HTML(HyperText Markup Language)は、1989年にスイスのCERN(欧州原子核研究機構)でティム・バーナーズ=リー氏によって発明されました。
  • URLやHTTPといったWebの基盤技術も、同氏によって構想されています。

1.2. CSSの誕生と背景

年代出来事
1994年ホーコン・ウィウム・リー氏によりCSS構想が登場
1996年CSS1がW3Cにより正式仕様として勧告される
  • HTMLだけではデザイン性に限界があったため、構造(HTML)と装飾(CSS)を分離する目的でCSSが登場しました。
  • 初期は限定的な表現力でしたが、後に高度なビジュアル表現が可能に進化していきます。

2.標準化とブラウザ戦争の時代

2.1. ブラウザ戦争とHTML 3.2

年代出来事
1995年Windows 95発売 → インターネット普及加速
1995年〜Netscape Navigator vs Internet Explorer の競争
1997年HTML3.2がW3Cによって標準化される。
  • ブラウザ間の独自仕様により、Webページの表示が環境によって異なる「非互換問題」が発生しました。
  • この混乱を収束させるために、HTML 3.2が登場し、標準仕様としての土台が整えられました。

2.2. W3CとWeb標準の確立

用語説明
W3CWorld Wide Web Consortium。Web技術の標準化を進める国際団体
W3C勧告W3Cが公開する正式な仕様書。HTMLやCSSなどWeb技術のガイドラインとなる。
  • W3Cは1994年にティム・バーナーズ=リー氏によって創設され、Webの中立的な技術標準化を担っています。
  • HTMLやCSSのバージョンごとの正式仕様も、この団体が勧告しています。

3.HTML5とCSS3の登場と革新

3.1. HTML5の進化

年代出来事
2014年HTML5が正式勧告として登場
  • HTML5では、従来の複雑な構文が簡素化され、動画・音声・図形などの要素がネイティブに扱えるようになりました。
  • 特にスマートフォン・タブレットへのレスポンシブ対応がしやすくなった点が大きな特徴です。

3.2. CSS3による表現力の向上

特徴内容
グラデーション色の滑らかな変化を実現
角丸・影などの装飾要素に視覚的な立体感や柔らかさを加える。
アニメーションCSSだけで簡単な動きや変化をつけることができる。
  • CSS3では、従来はJavaScriptや画像でしか実現できなかった表現が、CSSだけで可能になりました。
  • 表現力の向上により、デザイン性の高いWebサイトが作られるようになりました。

4.HTML Living Standardの時代へ

4.1. WHATWGと新たな標準化団体

用語説明
WHATWGApple・Google・Mozillaらが設立したHTML仕様策定団体
HTML Living Standard継続的に更新されるHTMLの仕様(固定バージョンではない)
  • HTML5以降、W3CによるHTML標準策定は終了し、現在はHTML Living Standardが主流の仕様となっています。
  • WHATWGにより、日々リアルタイムでHTML仕様が更新・進化しています。

まとめ

HTMLとCSSの歴史は、Web技術の進化そのものと言えます。
 1989年に始まったHTMLは、W3Cによる標準化を経て、現在ではWHATWGによる継続的な改善へと移行し、今もなお進化を続けています。CSSもまた、デザイン性を向上させるための不可欠な技術として、多くの表現力と柔軟性を獲得してきました。
 こうした歴史的背景を理解することで、現在のHTML・CSSのあり方、そしてWeb開発の本質を深く理解できるはずです。